さて、
先日予告した『デザインのひきだし27』。今回は「現代・印刷美術大全」特集に綴じ込まれている110枚の付録のなかからいくつかをご紹介していきます。
「現代・印刷美術大全」は、日本全国の印刷加工会社の中から編集部が信頼を寄せる約60社に「自社で一番得意な印刷加工をしたもの」をつくってもらい、それを一冊にまとめた、実物印刷加工見本帳の決定版。各社腕をふるってつくってくれた印刷加工サンプルの数々、どれも唸ってしまうすごさです。
まずはこちら。
美箔ワタナベの「バック押し」という技術を使った箔押し加工サンプル。こちらの金色の面から表面のシートをめくると……
透明シートにUVオフセット印刷された、美しい柄が現れます。
さらにめくっていくと……
こんな風に、柄の一部に箔が転写されているのです。美しいデザインは高谷廉さん。柄は3種類あり、そのうちのどれかが綴じ込まれています。どれが入っているかは、開いてみてのお楽しみです。
※こちらの箔押し加工サンプルは、本来、金色の面が表となります。
さて、続いては、こちらも剥がして楽しんでいただくもの。
タカクラ印刷の粘着加工サンプル。付せんやシールのように、ベタベタとした糊をつける加工が粘着加工。その糊にもいろいろな種類があります。このサンプルは、強粘着、再剥離、弱粘着の3種類の糊の効果を剥がして貼って確かめられるというもの。
鮮やかな色のトレーシングペーパー・クロマティコには、表面に粘着加工が施されており、台紙から剥がして透明フィルムを剥がすと、付せんのように貼ることができます。さらに、台紙の水色部分も糊が加工されています。こんな風に、ドットや柄を色つき糊で加工することもできるのです。
キラキラした加工では、たとえばコールドフォイル。
コールドフォイルはオフセット印刷で行なう箔押し加工。箔の上に印刷することも可能です。さらにアインズのこちらのサンプルではニス加工も加えて、微細な柄を表現しています。
緑から青に劇的に色が変わるホログラム紙スペシャリティーズに、箔押しをしたサンプルも。一見、なにがどうなっているの?と思ってしまう不思議な加工。
しかも、別名「植毛印刷」と呼ばれるフロッキー印刷も施されています(黒い部分)。ぜひ触って確かめてみてください。これは河内屋のサンプル。
そして箔押し加工会社といえばここ、コスモテック。
箔押しの匠の顔が、2色の箔でドーンと! ツヤ面とマット面が混在する、同社の得意技術「つばめ返し」が使われています。
一方、こんな風に、穴の向こうに見える箔押し加工も。
これは羽車のサンプルで、型抜き(ダイカット)加工と箔押し加工、オフセット印刷の組み合わせ。他にもロウ引きや活版印刷などが施されています。
穴あけといえば、こんなサンプルも。
小林断截のこちらの「パンチングペーパー」は、穿孔機という機械で1枚目は規則的に、2枚目はランダムに(……見えて、実は規則的なのですが)大きさの違う穴をあけています。重ねて見ても、1枚ずつで見ても楽しいサンプルです。
いかがでしょうか?
「現代・印刷美術大全」に綴じ込まれている印刷加工サンプルのバラエティ豊かな様子を感じていただけましたでしょうか。
全部をこのブログでご紹介するのは難しいのですが(なにしろ全110枚なので)、これから何回かに分けてご紹介していきたいと思います。次の更新も、どうぞお楽しみに!
(ゆ)