めちゃくちゃ久しぶりのブログですみません……。もう少しで『デザインのひきだし20』が校了しますので、そうしたら精進して、またブログもこまめに更新します。。。
さて、ひきだしの前に、みなさんにぜひ見ていただきたい本を出版しましたので、ご紹介させていただきます。その名も『
フルーツ ポストカードブック 〜ごあいさつメッセージ入り、くだもの型ポストカード20枚』です。

大島依提亜著/グラフィック社刊
定価:1600円+消費税
じゃじゃん。
開くとこんなふうに、それぞれ別の形に型抜かれたポストカード(20枚)が綴じ込まれています。ノド側がミシン目になっていますので、そこをピリピリっと切り取るとこんな感じに。
りんごのカードには「THANK YOU」と入っていますが、他のくだものカードにはTHANK YOUの他にも、How are you?、For you、Congratulations!、Seasons Greetingsなど、使う機会の多いメッセージが入っています。
デザインは大島依提亜さんです。大島さんらしいさすがのかわいさで、さっそくピリピリミシン目で切って使っています。
さてこの本、型抜きされたカードが20枚綴じ込まれているわけですが、制作上、一番難航したのが、どうやって製本するかということ。予算を考えると機械製本じゃないとコストが合わない。でも、こんなバラバラな形のもの、どうやって揃えて丁合をとるのか。
ひきだし読者のみなさんなら、この製本をどうやって機械でやったのか、興味があるかなと思って、少しレポートしてみたいと思います。
-----------------------------------------------------------------
①製本工程用に、下部に余白をつける
『フルーツ ポストカードブック』は、全て別の形に型抜きされた20枚のポストカードを綴じ込んでいる。通常、こうした四角くない本文を製本するには、手作業になってしまうのでは……と考えがちだが、それではコストが見合わない。そこでカードの下部に、製本機で揃える際に必要な余白部分をつけて型抜きすることに。この余白があることで、機械内でポストカードを揃えることができるのだ。このカードを丁合し、見返しと共に表紙をつける。

本文のポストカード。印刷→UVラミコート→型抜きをした状態。

表紙から本文の余白部分が飛び出している、製本途中の状態。

開いてみると、本文のポストカード下部に、しっかり余白がくっついている。
②表紙を付けたら、下部余白を断裁する
余白がついた状態で製本し、表紙をつけたら、下部だけ化粧断ちして、余白部分を落とす。こうすることで、本文がフルーツの形に型抜きされた状態になる。裁ち落としてしまうので、余白部分があったということは、読者にはわからないというわけだ。

下部だけ断裁したもの。先ほどまでついていた余白がなくなっている。

余白を断裁したため、本文のポストカードがフルーツの形に型抜きされた状態に。
③表紙に板紙を貼る
最後に、表裏の表紙に分厚い板紙を貼って、いわゆる「ドイツ装」の状態にする。これは、見栄えの点で板紙を貼ったという意味合いもあるが、実は強度的な理由からつけてもいるのだ。本書の本文はすべて違う形に型抜きされているので、一般的な並製本の表紙ではぺらぺらすぎて、表紙がたわんでしまうのだ。分厚い板紙を貼ることで、それを回避している。

これだけは手作業で板紙を貼った。
あとはカバーと帯をかければ完成。いかがでしょう? こんなふうにして作業していただいていたんですねぇ。ちなみに、すべて型抜きされてて、本の売り上げスリップを入れるのをどこにしよう!? という問題もあったのですが(苦笑)、見返しだけは本と同じサイズだったので、そこに引っ掛けることにしてことなきを得ました。
こうして工夫いっぱいにつくられた『フルーツ ポストカードブック』、ぜひ書店店頭でご覧ください。デザイン書・芸術書、またはお手紙とかポストカードブックが置いてある売り場に並んでいるはずです。
amazonでは
こちら。