ピカピカな紙はステキだけど、高いものが多いし、もうちょっと違う感じの紙もほしいな……。ブックデザイナーの祖父江慎さんのそうした思いから生まれたのが「コズピカ」という紙。他には全くない、金銀紙だ。
質感は実物を見ていただかないことにはなかなかわかりにくいのですが、鈍い金銀でムラもあって、紙の厚さによって表情が違ってて、ツルツルしてなくてと、大変個性的でステキなメタリック紙です。
『
デザインのひきだし18』には、コズピカの全色(シロギン、クロギン、シロキン、クロキン、モドキ)、全斤量が入った短冊見本帳と、全色にCMYK+白を印刷した印刷サンプルが綴じ込まれていますので、ぜひそちらをご覧いただいて、実物のよさを実感していただきたいです。

綴じ込んだCMYK+白印刷したコズピカ5色。

こちらが投げ込み付録(本誌綴じ込みではなく、挟まってる付録のことです)のコズピカ短冊見本帳。
初めてコズピカが誕生したのは、『
デザインのひきだし12』に掲載した「祖父江慎の実験だもの。」でした。その際は3色、各2斤量、全6アイテムだったのですが、今回、5色、各4斤量、全20アイテムとドーンと増色、増連量となったため、『デザインのひきだし18』でご紹介した次第です。
これを記念して、東京は表参道にある
青山ブックセンター本店にて、トークイベントを開催することになりました。日時は、3月3日(日)おひな様の日(なんか祖父江さんに合ってる……)! 18時スタートです。
「デザインのひきだし18」(グラフィック社)刊行記念
祖父江慎 トークイベント
●新しい紙・コズピカとか、他の紙とか、とにかく紙と印刷と造本について話すのだ!
このコズピカは、祖父江さんの監修のもと、加工紙メーカーである
ヨシモリ株式会社が製造している紙。そこで、このトークイベントには、ヨシモリ株式会社のご担当者、冨岡さんにもお出でいただいて、技術的なこと、この紙ができた経緯などなど、コズピカについていろいろお話いただきます。
申込やイベント詳細は
こちらから。
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当日は、そもそもどうやってコズピカができたかなども、誌面に載せきれなかった写真もお見せしながらお話いただこうと思いますが、今日はほんのちょっとだけ、開発秘話をご紹介します。
2010年の秋から冬にかけて、祖父江慎さんがヨシモリへ行って、試作がスタートしました。そのときは、ブックデザイナーの名久井直子さんも一緒に。工場をいろいろ見て回った後、なぜか二人は車に乗って、近くのホームセンターへ。

ん? 何を買ってるの!?
当初は、紙の表面に何かしら地模様のようなものをつけたらおもしろいのではないか、ということを考えていたため、その地模様を付ける素材を探しに行ったんです。

しかし、祖父江さん、名久井さんが買ってきた素材のあまりの無茶っぷりに、加工現場の方々はしばし呆然。

「やってみようか!」という、現場の方のすごい決断によって、まずはプチプチの緩衝材を、加工機に装着。「がんばってー」というように加工機を見つめるふたり。

そうしてできた試作品がこれ。ホントにプチプチが写ってる……。


ほかにもこんな麻袋を切り開いたりと、とんでもない素材をたくさん繰り出し、「いい紙ができますように」と祈る二人。ううむ……。
ほかにどんなものを巻き付けてテストしたかは、トークイベント時に写真をお見せします!
ブラックホールのように果てしないアイデアで本を作り続ける祖父江さんに、コズピカを始め、紙や印刷や造本などなど語り尽くしていただきます。ぜひ
トークイベントにおいで下さい!