『デザインのひきだし15』の表紙は、巻末特集内容と連動して、紙がグシャッとなるコマ撮り写真をつかったレンチキュラーが飾っている。おかげさまでご好評いただいているようで、うれしい限りです。
このレンチキュラー(かまぼこ状のレンズ効果で、左右にふると絵が変化したり、立体に見えたりするもの)、日本での起源は、一世を風靡したダッコちゃん人形だそう。目がレンチキュラーになっていて、角度によって目を閉じたり開いたり、という仕様だったそう。
ダッコちゃんがつくられたのは、もう半世紀も前のことですが、そんな頃からあったんですね。ちょっと調べてみると、このレンチキュラーの目があるかないかで、
本物/偽物を確認してたとか。
それから、10年に1度くらいの頻度でレンチキュラーははやりがあったそうなのですが、最近もまた流行の兆しが。発端は「アバター」を始めとする3D映画の登場によって、広告物や宣伝物などでも3Dの需要があり……という話を耳にしました。
そんな中、昨日、書店の写真集コーナーを見ていたら、おおお、レンチキュラーを表紙に使った、東京スカイツリーの公式写真集が!
『TOKYO SKYTREE Premium Edition』
角背のクロス貼り上製本。非常にステキな本です(ブックデザインは井上嗣也さん)。
真ん中に貼られたスカイツリーの写真は、上の画像だとわかりませんが、スカイツリーが建っていく様がレンチキュラーで表現されています。本を前後に揺らしてみると、ドドドっとタワーが高くなる。レンチキュラーは、上製本の表紙に空押しされてへこんだ中に貼られているので、本と一体感もありすてき。でも欲を言えば、レンチキュラーのコマ数が少ないため、出来上がる様がかなり粗い……。せっかくなら、もうちょっと間の高さのスカイツリー写真も入れて、滑らかな動きにできたらよかったのに。。。
と、こんな使われ方してるんだなーっと思っていたら、今朝、こんなものをコンビニで発見。即買い!
B.L.T.特別編集『B.L.T.PLUS』、表紙にはAKB48のレンチキュラーが! そしてその脇に「日本初の3D表紙グラビア誌誕生!」と大きく書かれています。昔からアイドルなどがレンチキュラーカードになって、付録についていたりした雑誌はありましたが、表紙になったのは初めて……なのかな?
この雑誌、中にももう1枚、レンチキュラーが貼り込まれてあるという豪華仕様。やっぱり立体になってるとうれしいってことかしらん。これはたぶん、通常の写真からレンチキュラー用のソフトが、立体値を勘案して画像をつくったものだと思いますが、こうした人がたくさんいるような画像は苦手なレンチキュラーながら、この本のものは、立体感もあり、すてき。
でも、これは立体レンチキュラーの宿命ながら、どこかの位置をゼロポイント(ピントが合っている位置)にしないといけない。このAKB48の場合は、2列目の大島優子さんと柏木由紀さんがゼロポイントになっているので、その二人が一番はっきりきれいに表現されていて、一番前にいる前田敦子さんは、顔などちょっとぼやけている。
でも若干気になることとしては、表紙をめくった裏表紙に書かれた、3Dグラビアの楽しみ方。
3番目に左右にゆらして見るとあるが、これ3Dタイプのレンチキュラーだから、左右にふっても絵はチェンジしないとおもうんだけど……。
Vol.1と書いてあるということは、これからも3D表紙のグラビア誌として続いていくのかな? 次号も楽しみ−。