『デザインのひきだし』は創刊号で「金銀ピカピカな印刷・紙・加工テクニック」という特集を掲載し、大変ご好評いただきました。やっぱり、ここぞ!というときには、金銀を使いたいことが多いですよね。
メタリックを表現する方法は、印刷、加工、紙とさまざまあります。つくっているものや予算などに応じて使い分けていると思いますが、そんな「メタリックの紙」に、新しい仲間ができました。
それが「
コズピカ」です。
これはこの度発売になった
『デザインのひきだし12』に掲載しているのですが、連載「祖父江慎の実験だもの。」で、
祖父江慎さんが考案・実験し、紙加工会社である
ヨシモリ株式会社が製造販売しているもの。そう、本誌発の新しい紙なんです!
名前は
コズフィッシュの祖父江さんが考案した、金銀の
ピカピカ紙、というところから。わかりやすいでしょ?
通常、金銀の紙というと、銀は一色で金にバリエーションがあったりしますが、コズピカはそうじゃありません。「
シロ銀」と「
クロ銀」という、2色の銀があるんです! これがどちらもかっこいい。シロ銀は、軽く粉っぽい感じの銀。クロ銀は、まるで濃い鉛筆で塗りつぶしたかのようなドス黒い銀。そして「
金」は、これも渋い色目の金で、もう、うっとりです。

これが塗工した金銀。
厚いもの(四六判換算で86kg)と薄いもの(四六判換算で34kg)の2斤量があり、それぞれ上記の3色がラインナップされています。
この紙がどうやってつくられたかなどの詳しいレポートと、実物の「コズピカ」2斤量×3色=6アイテム全てが、『デザインのひきだし12』に綴じ込まれていますので、ぜひともご覧下さいませ。
そして、この紙は、本誌のために実験しただけでなく、誰でもどこでも買って、印刷物などに使えるんです! すごいー!!
お値段は薄いものの方が、550×800mmサイズ、包み(200枚)の場合、48.4円/枚。
厚いものの方が、650×800mmサイズ、包み(200枚)の場合、62.4円/枚。
ここに書いてあるサイズ以外でも、幅(550と650mm)は固定ですが、流れ方向(800mmの方)は、希望に応じたサイズにカットしてもらうこともできます。なので、無駄なく使うために、薄い方を550×750mmサイズにとかもできる、ということです。また四六全判もこれから順次対応予定とのこと。
使いたい場合は、印刷会社さんや紙の販売店にお問い合わせいただいてもいいですし、ヨシモリ株式会社へ直接ご連絡いただいてもかまいません。その場合は、TEL.06-6464-3636/mail : info@yoshimori.co.jpまでご連絡を。
この紙をつくる実験工程は、もちろん、本誌で詳しくご説明していますが、たっくさん写真を撮っていて、内容も盛りだくさんだったため、載せられなかった写真も数多くあります。そこでこぼれ話をこちらで。
この実験では、結果的にはプレーンな紙が販売されましたが、紙に模様をつけてみよう、ということもいろいろ試しています。麻袋の模様とか、防虫ネット模様など、ホームセンターで買い込んできたものを、塗料の塗工機内に巻き付けて、それで模様を転写したんですが……

「これも、なんとか頼みます!」(祖父江さん)
といって祖父江さんが差し出したのは、「靴のインソール」。えーっ! そ、祖父江さん、いくらなんでもそれは無理なのでは……。
……あれ? 巻き付けてる……。
どんなことでも「やってみよう!」精神にあふれる、意欲的なヨシモリの現場の方々は、「内股がいいかな?」などと、ノリノリでインソールをローラーに貼付けてくれたのでした……。
でも、インソールを貼付けた部分だけが非常に高くなってしまい、塗工途中に紙が破けてしまい、あえなく失敗。残念だったものの、ヨシモリの方々の柔軟さに、一同感動した瞬間でした。
そうそう、この実験は大阪にあるヨシモリの工場で行なわれたんですが、同じく「ひきだし12」に掲載している「本づくりの匠たち」の取材のため、大阪に来ていたデザイナーの名久井直子さんも、急遽現場に駆けつけました。
そして、何をしているのかと思いきや……
祖父江さんと二人で、ヤレ紙から、表面のアルミを剥がし
口に当てて「ヴーヴー」と声を出してみたり、鏡のようなピッカピカな紙を見つけると、「これで足下を隠したら、浮いてるように見えるかな?」と試したり。
いったい、二人とも何歳なんですか!(笑)