ダンベルがわりにひきだしを。いや嘘です。不謹慎ですみません。
付録をはさんだ本誌の厚みは7cm、重さは1.5kgほど。なぜこんなに分厚く、そして重くなったのかというと、特集が「板紙・厚紙」をテーマにしているからです。なるべくたくさん、実物サンプルをつけることで、実際に手にとってみないとわからない、板紙や厚紙の良さを知っていただいて、仕事や自分でつくる紙ものに役立てていただきたいなと思った次第です。各製紙メーカーや販売会社のご協力と、それを1枚ずつ丁合して、図書印刷の製本機の限界の厚み(5cm)まで挑戦して製本してくださった図書印刷のみなさまのおかげです。
というわけで早い書店では先週から並び始めた『デザインのひきだし44』を紹介させていただきます。
まずは表紙から。今回の特集テーマに合わせて、表紙は610g/㎡、厚み約1mmという、B5サイズの表紙には通常使われないくらい分厚い、「アートボール ナチュール」を使っています。これはヨーロッパから輸入された色板紙で、原料由来のチリが見えたり、あまり潰されていないバルキーな質感もよく、色もビビッドと、三拍子揃った(?)私の大好きな板紙なのです。
アートボール ナチュールは6色あるのですが、その中からオリーブ、ルビー、オレンジの3色を使いました。
表紙の紙が厚すぎると、当然ながら硬くてめくりにくくなる。そこで、ロゴや文字などの加熱空押し加工をするときに、同時に表紙に2cm間隔の縦スジも押してもらっています。これがあることで紙が折れやすくなり、お風呂のふたみたいにちょっとしなやかになるだろうという計算からです。
実際に、思ったより結構しなやかにまがります。
挟まっている付録は特集テーマの「板紙・厚紙」の実物サンプルを109枚とじ込んだ、板紙・厚紙サンプルBOOKというものです。製本をしてもらっている図書印刷で、製本機でつくれる最大の厚みが50mmまでということで、ギリギリその厚みにおさまるように計算して、入れるサンプル板紙を決めました。
それに加えて、シート状の板紙なども付録しているため、本誌にこの付録をギュッと挟むと、厚さ70mm、重さ1.5kgになってしまったというわけでした。
109枚の板紙、見たことがないというものも、きっと多いのではと思います。ぜひ質感や色味、硬さなど、実物を見て確認してください。ちなみに厚紙なので1枚がけっこう硬いので、本を開くとバキッと背が割れてしまうのでは……と心配なさる方もいらっしゃると思います。でも大丈夫。この「板紙・厚紙サンプルBOOK」はPURという非常に強固な糊を使っていますので、しっかり開いてもこわれません。

この「板紙・厚紙サンプルBOOK」、表紙にはやわらかなフェルト模様が魅力的な「マーメイド」の厚物、四六判240kgを使用。マーメイドの240kgは全60色あるのですが、その中から25色使っています。表紙は3色、別冊表紙は25色、その組み合わせは全75パターンあることになります。書店店頭でぜひ好きな組み合わせを探してみてください。
特集「板紙・厚紙と、そのかっこいい使い方」。
内容は、板紙や厚紙を魅力的に使っているデザイナーのインタビューがあったり、
板紙・厚紙を使った、すっごくすてきな紙ものの紹介も満載。
エースボールやゆるチップ、バルキーボールなどの、魅力的な板紙を数多くつくっている、大和板紙の工場に潜入。誌上工場見学で、板紙に使われる豊富な古紙原料のことを知ることもできます。
板紙・厚紙紹介は、これでもか!と多数ご紹介しています。色板紙、厚ものファンシー、ピカピカ、白ものなどなど、特徴に合わせたカテゴリに分けて掲載。その中で付録の「板紙・厚紙サンプルBOOK」に綴じ込んでいる109種類には、綴じ込みマークがついていますので、ぜひ現物と照らし合わせてみてみてください。



そして、板紙や厚紙の印刷加工についても掲載していますよ。
板紙・厚紙はオリジナルをつくって使うことも実は多いのですが、それについてもロットからできることまでまとめています。
また、板紙・厚紙のニスを刷ったら、PPを貼ったら、合紙をしたら……どうなるのかといった実験記事や、厚みがあるからこそ映える紙加工もご紹介しています。
と、ここまででもうゼイゼイ言っているので、連載や特別記事については、また別の記事に後日まとめますね。
板紙・厚紙特集の『デザインのひきだし44』、今週あたりから全国書店にドーンと並んでいると思います。どうぞよろしくお願いいたします。