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デザインのひきだし・制作日記

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Fore-Edge Painting (小口絵)本展示会

昨日、2月発売の『デザインのひきだし15』が全ページ校了。実は昨日の明け方まで(今回は落とすかも……)と思うような状況だったので、終わったときにはなんだか惚けてしまいました(苦笑)。ご協力いただいたみなさま、どうもありがとうございました。こちらの内容については、また改めてご紹介させていただきます。

昨年秋に発売した『デザインのひきだし14』では、巻末特集で「小口の美」を特集しました。もう完璧な私の趣味特集で(すみません)、小口塗装から三方金、パッド印刷などなど、小口に施された加工の数々をご紹介しました。私は小口になにかしら装飾されてる本が大好きで、見つけるとついつい買ってしまうんですよね。なんででしょうか。

その特集内で、「小口絵」というものをご紹介しました。これは三方金された本の小口を、斜めにすると絵が現れるというしかけの本で、1冊ずつ手描きでつくられています。もう本当にすばらしくって、見るだにうっとりでした。

この本を収集されている文生書院さんに取材させていただいたのですが、この度、文生書院さんがこの小口絵の展示会を開催されることになりました。これだけのコレクションを直に見られる機会は、もうあり得ないと思います。小口絵に興味がある方はもちろん、本好きの方はぜひこの機会にご覧になられることをおすすめします。

会期中は毎日14時〜トークショーが開催されるそうで、僭越ながら私も土曜日に出させていただきます。以前、装丁道場にもご登場いただいたデザイナーの奥定泰之さん、元大日本スクリーン東京研究所長で、現在は文書管理コンサルタント・フォント研究をなさっている長村玄さん、そしてtwitterで「特別ゲストとして作家のモブ・ノリオ氏がご参加されます」とも書かれていました。ど、どんな話をしたらいいのか今からドキドキしていますが、予約不要/参加費無料ですので、ぜひおいで下さい。


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小口絵の世界へ
An Exhibition of 108 Fore-Edge Painting Books

Fore-Edge Painting(小口絵)本とは、17世紀後半より英国で起こった装幀技術の一種で、普通の状態では金箔の貼ってある普通の本の小口としてしか見えないものが、一度その小口を斜めに押す(fanという言葉を使うそうです)と忽然と綺麗な絵が出てくると言うものです。不思議な事にこの種の本は、ヨーロッパ大陸には小口絵装飾としてしか無く、英国で突然変異的に生まれたようです。それも最近になるまでこの種の本を知る人は極々稀で、ブリタニカ百科辞典にもその記載が長期間無かったそうです。

現在200数十種類を所蔵しているBoston Public Libraryが一番のようですが、我が国では一部のコレクターと図書館が少数所蔵しているだけだと思います。弊社は10数年前より四方八方、機会がある毎に探しまわりましたが発見できませんでした。数年前ある偶然からコレクターのものに巡り逢い、それ以降徐々にその数を増やして参りました。ここへきて漸く100冊を越えるものになりました。特に、弊社の小口絵本は高価なものだけを集めたものと云うよりは、小口絵の種類の多さ ―三方絵・垂直絵・両面絵等々― を誇れるものと思います。是非色々な形の口絵本をご鑑賞頂けますれば幸です。

小口絵本展示と共に3日間とも、講演会と鼎談を準備いたしました。最初の講演者は英文学の第一人者である高宮先生に“前小口絵”に付いてのご説明を頂きます。それに続き、之の技術を印刷方法で可能にすべく数年をかけて試行錯誤の結果、少部数ではありますが小口絵印刷と言えるものが「日露戦争Photoクロニクル」の豪華特装本として実現できました。翌日は、電子書籍類の台頭に際して、本とはなんであるかについて、装幀や活字、デザインの最先端でご活躍されている3人の専門家による鼎談をお願いしました。最終日は、昨年10月に『本屋は死なない』を上梓されました石橋氏に現状についてお話し頂こうと思います。

内容:小口絵本100冊以上を展示いたします
入場:無料
場所:東京古書会館 2階 情報コーナー
   千代田区神田小川町3-22
日時:2012年1月27日(金)-29日(日曜日) 10:00〜17:00まで


開催イベント日程:
27日(金):14時より 慶応大学名誉教授英文学者 高村利行氏の講演 
 「タイトルから小口絵へ―書物の前小口の機能について」
 小口絵本から「日露戦争Photoクロニクル」として小口絵印刷が出来るまで 小沼良成

28日(土):14時より 鼎談 「本が本であるために」(仮題)
 奥定泰之(グラフィックデザイナー)
 長村玄(元大日本スクリーン東京研究所長・文書管理コンサルタント・フォント研究)
 津田淳子(デザインのひきだし編集長)

29日(日):14時より 「古書店も新刊書店も『本屋』である」
石橋毅史氏「本屋は死なない」(2011年10月30日新潮社刊)の著者

会場が非常に狭いために満員の節はご容赦願います。
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by design_hikidashi | 2012-01-17 16:32

日本製紙「石巻工場の復興の歩み」展が開催されますよ!

※正式なタイトルが「復興へのキセキ。」展に決まったようです。詳しくはこちらに。(1月12日追記)

2011年は3月の震災があり、それまでの価値観や考え方を考え直す機会が多くありました。ガラッと180度変わったわけではありませんが、数度変わった気がします。

震災では、製紙工場が津波の大きな被害を受け、紙の抄造ができなくなったり、在庫されている紙も荷崩れで使えなくなったり。また流通も混乱して「紙がない」という状況になりました。紙以外もインキの供給が危ぶまれたりと、今まで「なくなる」なんてことを考えたことがなかったものが、どんどん手に入りにくくなり、そんな中で本をつくる意味というのを深く考えさせられました。

でも、私にできることは、やはりそんな中でも本をつくっていく、ということなんだなというのが結論です。「どんな本をどうやってつくるか」それが大事なんだと思っています。少しずつ、その思いを形にできればと思っていますので、今年もどうぞよろしくお願い致します。

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さて、今日、うれしいメールをいただきました。日本製紙の方からです。昨年3月の震災で甚大な被害にあった石巻工場の復旧が進み、その復興の歩み展が開かれるというお知らせでした。

「石巻工場の復興の歩み」展

日本製紙の基幹工場でもある石巻工場。その復興の様子の写真や映像、復旧後の製品等が展示されるそうです。

日時:1月17日(火)−19日(木) 10:00−17:00
場所:日本製紙 竹橋本社ビル9F 竹橋ペーパーギャラリー

Webで「日本製紙 石巻工場」で画像検索すると、その被害の様子を写した多くの写真が見つかります。ここからどう復旧していったのか、ぜひ私も見に伺いたいと思います。

石巻工場の現状ですが、

瓦礫の処理を終え、電力設備から復旧させ東北電力経由で地域への電力供給を開始しました。またボイラーという設備で地域の瓦礫を現在処理しています。製紙マシンの方は、嵩高紙を生産している8マシン、塗工紙・グラビア紙を生産している4コーターの復旧が完了し、まだ3割程度の復旧状況ですが、ようやく復興への光が見えてきました。

とのことです。こちらでつくられている紙のひとつ「フロンティタフ」も、震災で供給がストップしていましたが、昨年12月12日のリリースで販売再開のうれしい知らせがありました。

私は、こうしてできた紙を、無駄なく、でもできるだけたくさん適材適所で使っていきたいと思います。
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by design_hikidashi | 2012-01-06 13:01 | イベント・展覧会・新製品情報